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2022/12/26
名門ヘッジ・ファンド会社紹介
ツー・シグマ

世界のクオンツ運用に特化したヘッジ・ファンドの2大勢力のひとつ、ツー・シグマは、過去10年間あまりで"世界最大級"へと急成長を遂げた米国のヘッジ・ファンドである。

2002年に、世界的にも著名なヘッジ・ファンドであるD.E.ショー出身の2人、ジョン・オーバーデックとデービッド・シーゲルによってニューヨークで創業。ジョン・オーバーデックはわずか16歳で国際数学オリンピックの銀メダルに輝き、その後スタンフォード大学で数学と統計学を学び、D.E.ショーへ。デービッド・シーゲルはマサチューセッツ工科大学でコンピューター・サイエンスを学び、プログラミングやAI(人工知能)技術に精通。D.E.ショーでは最高情報責任者を務めていた。

2022年11月時点での運用資産残高(AUM)は約812億米ドル。2011年時点でわずか60億米ドルであった運用資産は2017年には500億米ドルにまで増え、クオンツ運用のヘッジ・ファンドの代表格となった、ルネッサンス・テクノロジーズやD.E.ショーと肩を並べるほどまでに急成長。創業から20年でクオンツ運用のヘッジ・ファンドのトップ2に入る地位を確立させた。

1600人以上の従業員が在籍し、そのうち3分の2が研究開発部門に所属。約6割が非金融部門出身で、コンピューター・サイエンスや統計学、数学の博士号取得者、プログラマー、国際数学オリンピックのメダル保有者などが多く、さながらIT(情報技術)ベンチャー企業のような雰囲気であると評される。

投資戦略のクオンツ運用は、高度な数学的テクニックを使い、様々なデータに裏付けされた独自の数理モデルを用いた運用を行う投資スタイルである。金融市場に関連する情報を科学的アプローチで分析することでこそ利益を生み出すことができると信じ、6900台以上のサーバーを保有し、日々10000以上のデータ・ソースを解析。例えば過去と現在における各種経済指標、企業の業績や財務状況、株価、為替などのマクロ、ミクロ、市場の各種データに加えて、企業の発表する情報、幹部の売買情報、機関投資家の売買動向、天候やSNSの投稿までにおよぶ、あらゆるデータと相場の動きを分析、運用に活用している。

さらに、自社のデータ・センターでは投資環境や投資技術の開発を行い、従来ヘッジ・ファンドで重要視されるような、いわゆる"運用を行うファンド・マネジャーの相場観"を排除し、人間の意思決定を考慮できるAI(人工知能)が投資判断を行うアプローチを可能とする技術開発へ注力している。

運用ファンドは、多数あり、そのうち旗艦ファンドは、マクロ指向の"Compass Fund"とエクイティ・クオンツ・ファンドの"Spectrum"で、2004年、2005年に設定。新型コロナ・ウイルス感染症の影響が出る以前までの運用実績はいずれも好調で多くのファンドで2桁の実績を出していた。特筆すべきは、2014年にCompass Fundのひとつで57.55%ものリターン(投資収益)を記録したことである。

新型コロナのパンデミック(世界的大流行)による市場の混乱でクオンツ・ファンドの多くが運用実績を落としたが、ツー・シグマも例外ではなく、2019年には25%といった運用実績となったヘッジ・ファンド商品が多くあったが、運用資産残高(AUM)は安定しており、2020年、2021年と以前の実績に近づく運用成績となってきており、巻き返しを図っている。

近年のツー・シグマは中国でのヘッジ・ファンド事業(ヘッジ・ファンドに相当する私募基金を扱う事業)に力を入れており、中国での事業に必要な免許を2019年に取得、中国人投資家の資産活用を強化し、資金を多く集め、2桁の運用実績をすでに上げていると報じられた。

近年では、投資家の中でもアルゴリズムを用いた投資やクオンツ運用といった投資手法が広く一般的になっている。AI(人工知能)の活用に代表されるような、その先を見据えたツー・シグマの運用手法は1歩進んだ"次世代のクオンツ・ファンド"とも言われ、その動向が注目されている。

参考資料:

(文責:客員アナリスト 鈴木)

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