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2022/10/24
名門ヘッジ・ファンド会社紹介
ミレニアム・マネジメント

"世界中で最も成功したヘッジ・ファンド"のひとつに数えられるミレニアム・マネジメントは、30年以上にわたり独自の投資戦略で確実に運用実績を伸ばしてきた米国のヘッジ・ファンドである。

創業者のイズラエル・イングランダーがミレニアム・マネジメントを創業したのは1989年で、投資部門の責任者として現在の実績をけん引してきた。1990年以降の運用成績は、2008年に若干のマイナスとなった以外は全てプラスの運用を続けており、2020年の運用成績は20%超と報じられている。また、イズラエル・イングランダーはInstitutional Investorが毎年発表しているThe Rich Listの常連としても知られている。20年にわたって上位にノミネートされ、この数年はトップ3に連続して入っている。

本拠地はニューヨーク。他に米国各地、欧州、アジア、イスラエルなど世界に多数の拠点を構え、4000人以上の従業員を抱える。運用資産残高(AUM)202112月末時点で約554億米ドルである。

投資戦略はマルチ・ストラテジーで、投資戦略を分散し、その時々の状況に応じた投資戦略の配分を変更することによって安定的なリターン(投資収益)を生み出そうとする戦略。ミレニアム・マネジメントのマルチ・ストラテジーは、社内に個別の戦略を取り扱うチームが多数存在するが、最大の特徴はその投資チームの多さにある。"最多のファンド・マネジャーを抱えるヘッジ・ファンド"とも言われ、270以上の投資チームがあり、各ポートフォリオ・マネジャーにはそれぞれに資金の割り当てがあり、それぞれのチームが膨大なデータを分析、個々が結果に責任を持って運用を行っている。各チームが小さなヘッジ・ファンドを運営しているような、またはひとつの会社の中でファンド・オブ・ヘッジ・ファンズを構築しているような、特徴的なスタイルが確立されている。投資対象はあらゆる国や地域、産業、資産クラスへ及んでいる。主要な戦略としてあげられているものが4つ。

  1. 株式ファンダメンタル分析に基づくリラティブ・バリュー:特定の業種(産業群、セクター)の会社、業績、状況などを見極めて投資対象を選定する手法。
  2. 株式アービトラージ:合併裁定、イベント・ドリブン、転換社債裁定などの戦略に代表されるような価格差に注目して収益を獲得しようとする裁定手法。
  3. 債券アービトラージ:通貨、住宅ローン、クレジットや先物商品など、あらゆる資産クラスへ様々な戦略を用いた投資を行う。
  4. クオンツ戦略:世界の株式市場、利率、外国為替などあらゆる資産クラスへの定量分析に基づく投資を行う戦略。

ミレニアム・マネジメントが採用するマルチ・ストラテジーは、今最も成果を上げているヘッジ・ファンドの戦略のひとつとして注目されており、新型コロナ・ウイルスによるパンデミック以降、より一層の資金の流入が続いている投資手法である。ミレニアム・マネジメントが運用する、投資家が解約できる金額に制限があり、全額を償還するのに最低5年という長期に延長したファンドでさえも、100億米ドルという記録的な資金が集まってくる人気ぶりである。より多くの長期に運用可能な資金を集めることで、投資チームを新たに雇用して規模を拡大することや、自社のテクノロジー分野などへのインフラ投資を一層可能とし、さらなる好循環でリターンを生み続けることができる状況にある。

参考資料:

(文責:客員アナリスト 鈴木)

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