厳選コラム・ニュース

2022/10/14
名門ヘッジ・ファンド会社紹介
ルネッサンス・テクノロジーズ

"最も賢い億万長者"と英紙フィナンシャル・タイムズに評されるヘッジ・ファンド・マネジャー、ジェームズ・シモンズが創設したヘッジ・ファンド、ルネッサンス・テクノロジーズは世界で最も成功しているとも言われる米国のヘッジ・ファンドの代表格である。

創業者であるジェームズ・シモンズがルネッサンス・テクノロジーズの前身であるモネメトリクスを創業したのは1978年。マサチューセッツ工科大学で数学を専攻し、賞を受賞するなど実績も十分の数学者であったが、設立当時、投資判断は勘や経験といった曖昧なもので行われるのが一般的であった中で、数学的なモデルを用いること、人に代わってコンピューターで取引を行うことを取り入れたパイオニアである。現在は引退し、経営からも離れているが、これまで何度も報酬ランキングの1位を獲得してきた"地球上で1番成功した"ヘッジ・ファンド・マネジャーであり、今年Institutional Investorが発表した"2021年に1番稼いだヘッジ・ファンド・マネジャー"で第1位になるなどヘッジ・ファンド業界で知らない人はいないほどの有名人である。

ルネッサンス・テクノロジーズの拠点はニューヨークで、2022年3月末時点の運用資産残高(AUM)は約1218億米ドル。従業員数は310人で、ほとんどが経済や金融の専門家ではなく、数理関係の博士号取得者だと言われている。

投資戦略は「クオンツ運用」と呼ばれ、数学的、統計的分析から導き出された定量的モデルを用いてシステマティックな取引を行う。最近では、AI(人工知能)を利用した戦略にも力を入れている。米国株、米国以外の株式、債券、先物、デリバティブ取引、外国為替といった様々な資産クラスへの投資を行い、長期にわたり安定した実績をあげている。

運用ファンドは5つで、基本的に個人投資家からの投資を受け付けていない。

  1. メダリオン・ファンド:1998年から運用開始。複数の資産クラスへ短期的なポジションで投資を行うファンド。設立以来の年間のリターン率は4%で、リーマン・ショックのあった2008年に手数料控除後80%超の驚異的なリターンを出したことで知られている。2020年のリターン率は76%。現在、外部の投資家には非公開。そのほとんどが従業員のために運営されている。
  2. RIEFファンド:The Renaissance Institutional Equities Fundsの略称で、2005年に設立。米国の証券取引所で公式に売買されている、米国株及び外国株式へ長期的なポジションで投資を行う。2021年のリターン率は20%。
  3. RIDAファンド:The Renaissance Institutional Diversified Alpha Fundsの略称で2012年に設立。世界市場で取引のある先物やデリバティブへの長期的なポジションでの投資を行う。2021年のリターン率は15%。
  4. RIDGEファンド:The Renaissance Institutional Diversified Global Equities Fundsの略で2016年に設立。世界市場で株式やデリバティブなどを対象に長期的なポジションで投資を行う。2021年間のリターン率は10%。
  5. カレイドスコープ・ファンド:従業員とその家族や関係者向けのファンド。

現在、ルネッサンス・テクノロジーズは顧客資産流出の危機に直面している。過去100年以上の間に経験のないパンデミックにより、市場は混乱、世界中のクオンツ運用のヘッジ・ファンドはこれまでに培ってきたアルゴリズムをうまく機能させることができず、運用成績を上げることが難しい時期が続いた。ルネッサンス・テクノロジーズも例外ではなく、2020年に創業以来、最低の運用成績を記録すると顧客が資金を引き揚げ始め、すでに運用成績がプラスに戻った今も資金流出が続いていると報じられている。

しかしながら、2020年のマイナスの運用成績を受けて資金流出が相次いだ20214月までに比べ、引き揚げ金額がやや緩やかになっていること、すでに運用成績を戻しつつあることから、顧客が十分に納得する運用成績を上げる日が来るのか、今度の動向を注目すべきヘッジ・ファンドのひとつである。

参考資料:

(文責:客員アナリスト 鈴木)

【広告審査番号:AD2022077

関連コンテンツ