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2023/01/23
名門ヘッジ・ファンド会社紹介
ファラロン・キャピタル・マネジメント

大学のオルタナティブ投資の先駆けで、日本では現在、東芝の大株主としても著名なファラロン・キャピタル・マネジメントは、運用する資産の規模や実績において世界でも上位に数えられる米国の大手ヘッジ・ファンドである。

ゴールドマン・サックス出身のトーマス・ステイヤーが1986年に設立。2012年にステイヤーは一線を退いたが、創業から35年以上たった今でも、顧客の資産を安定的に運用している。2023年1月時点での運用資産残高(AUM)は約420億米ドルで、PensionsInvestments社が発表した2021年の資産運用規模のランキングで8位、LCHインベストメンツがまとめた2021年の世界のヘッジ・ファンド利益ランキングでも8位に輝いた。米国のサンフランシスコを拠点に東京を含めて世界中に6拠点、230人以上の従業員が、法人または個人の顧客の資産運用に携わっている。主な顧客は大学の基金、慈善団体、年金を含む機関投資家、または富裕層の個人など60以上のクライアントの資産を預かる。

投資戦略は、創業時にはマルチ・ストラテジーを用いたアプローチを行う先進的ファンドとしてスタートしたが、ステイヤーが始めた合併裁定や破綻裁定で定評がある。2007年から2009年にかけて起こった米国のサブ・プライム・ローン危機の際に、積極的に破綻債権を購入したことでも知られている。

クレジット投資、上場株式投資、合併裁定取引、不動産投資、直接投資の5つを主な戦略分野として定め、基本的なボトム・アップのファンダメンタル分析を行い、優れたリターン(投資収益)の実現を目指して、世界中の資産クラスへの投資を行っている。合併や破綻、買収、企業組織再編や法廷闘争などといった企業イベントに着目した戦略では、メディアなどの注目を集めることもあるが、本質的には企業価値が過小評価されていると考える企業への投資に主眼を置き、投資先の経営陣との良好な関係の中で、企業価値の向上へ尽力することを重視している。

旗艦ファンドのひとつはファラロン・キャピタル・パートナーズで600以上のオーナーから40億米ドルもの資金を集めている。設立から22年間マイナス運用の年はなかったが、2008年に初めて通年でマイナス運用となった。

近年では、ヘルスケア産業に特化したヘッジ・ファンド商品のリリースを行うなど、ヘルスケア分野への集中的な投資が積極的に行われている。また、創業者のステイヤーが再生可能エネルギーの研究に寄付を行ったり、ファラロン・キャピタルとしても、早い時期から化石燃料に対するネガティブ・スクリーニングを行ったりしており、環境やサステナビリティといった社会的な関心事項へも敏感に適応している。

競争の激しいヘッジ・ファンド業界で長きにわたり顧客を獲得し、実績を上げているヘッジ・ファンドが今後どのようなことに注目して投資戦略を行っていくのか、またアクティビスト株主として関わってきた東芝への投資をどのような形で収めていくのか手腕に国内外から注目が集まっている。

参考資料:

(文責:客員アナリスト 鈴木)

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