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2022/10/07
はじめてのヘッジ・ファンド
苦情続く仕組債の代替としてヘッジ・ファンドも選択肢

<苦情続く仕組債の代替としてヘッジ・ファンドも選択肢>

過去数年間、新型コロナ・ウイルス感染症、ロシア・ウクライナ情勢、主要国のインフレ高進と金融引き締め政策などを背景に、国際金融市場が不安定化する中、投資家の仕組債への含み損が膨らんでいると報じられている。

仕組債に対する苦情が続き、販売停止や勧誘見直しが相次いでいる。金融庁に寄せられた苦情では、「単なる債券を購入したつもりだった」「定期預金と同様の元本保証との説明を受けたが、評価損になっており納得できない」「銀行に勧められたので仕組債を購入したがノックイン(指標となっている株価・為替などが、あらかじめ定めた水準に達すると特定の条件が生じる)して含み損が発生している」「低リスク商品を希望したのに仕組債を購入させられ損失が発生した」といった声が噴出しているようだ。

日本証券業協会は、ホームページで、「仕組債」とは一般的な債券にスワップやオプションなどデリバティブ(金融派生商品)を組み込んだ債券と説明し、投資家に注意を喚起している。

仕組債は、魅力的な高利回りが多いようだが、為替、金利、株式などの(コール・プット)オプションを売って、オプション料を高利回りの源泉にしているため、為替リスク、金利変動リスク、株価下落リスクなどがあり、突然大きな損失が発生して、元本割れやクーポン(利息)が減少する可能性がある。

また一般的な債券と異なり、当初予定の満期時に元本で償還される可能性は必ずしも高くなく、十分な金融知識がないと、リスクやコスト見合いのリターン(投資収益)の理解が難しい。

金融庁が630日に発表した「投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果」によると、2021年度の仕組債の販売額は証券会社が24400億円、主要銀行等が1700億円、地域銀行が6400億円で、総額41500億円程度に上る。(主要行等10行、地域銀行26行、証券会社26社を対象に実施。有効回答は主要行等7行、地域銀行23行、証券会社6社だった。)

仕組債修正版①.png

種類別の内訳は、主要行等9行集計で、為替連動型3%、株価指数連動型35%、個別株価連動型47%、その他15%。大手証券会社等7社集計で、為替連動型3%、株価指数連動型28%、個別株価連動型65%、その他4%だった。

仕組債修正版②.png

複雑な商品性を十分に理解していない顧客が多いほか、販売会社の態勢や業務運営が顧客本位になっていないことを課題に挙げ、金融当局は一段と規制を強化する方向だ。

証券会社や銀行などの金融機関は、業務委託する金融商品仲介業者(IFA)を通じて、仕組債を販売しているところもあり、問題への対応を迫られ、取り扱いを停止したり、制限したりする動きが広がっている。

<代替としてヘッジ・ファンドも選択肢>

世の中には、長期的な資産形成を目指す一般投資家の需要に即しているとは考えにくい金融商品やサービスは多数存在する。営業マンの言う通りに投資して失敗し、損失額を増やしたくないと悩む顧客にとって、代替を検討する上で、ヘッジ・ファンド投資も選択肢のひとつになるかもしれない。

オプションなどデリバティブを活用する点では、ヘッジ・ファンドも仕組債と同じだが、ヘッジ・ファンドは投資収益の確保に加え、価格下落へのプロテクションの両方の目的で利用していることが一般的だ。

またヘッジ・ファンドは、多種多様な戦略を組み合わせ、幅広い資産クラスを網羅し、世界各国・地域へ分散投資を行い、リターンの安定化とリスクの低減を図り、金融市場に影響されにくいパフォーマンスを目指すものが多い。さらに強固な運用体制やリスク管理に基づき、金融専門家であるファンド・マネジャーに資産運用を委ねるため、投資家の判断に頼ることなく、リスクやコストに見合ったリターンを目指すことが可能だ。

ヘッジ・ファンド業界には、イングランド銀行(英中央銀行)を潰した男の異名を持つジョージ・ソロス氏、投資業界のスティーブ・ジョブズと言われるレイ・ダリオ氏、商品先物から金融総合商社を創設したジェームズ・マン氏、最も賢い億万長者と評されたジェームズ・シモンズ氏など、強力なパワーと輝かしい実績を持つ人々が、最先端の技術を駆使しながら金融業界を率いてきた。

リスク・ヘッジ機能などを働かせることにより、市場の方向性に依存しないリターンを確保する商品性に加え、市場動向の影響を受けにくい、アブソルート・リターン(絶対収益)を持続的に追求する構造面などがヘッジ・ファンドの特長だ。

参考文献:
投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果について(令和3事務年度):金融庁 (fsa.go.jp)
「仕組債」とは? | 日本証券業協会 (jsda.or.jp)
金融庁、仕組み債巡り3メガや地銀に立ち入り検査も-屋敷審議官 - Bloomberg
「仕組み債」4兆円市場縮小へ、金融庁の厳格姿勢が販売見直し迫る - Bloomberg
仕組み債、楽天証券も停止: 日本経済新聞 (nikkei.com)
野村証券と大和証券、個人向け仕組み債の販売停止: 日本経済新聞 (nikkei.com)

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