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2022/08/10
名門ヘッジ・ファンド会社紹介
ブリッジウォーター・アソシエイツ

"投資業界のスティーブ・ジョブズ"との異名を持つレイ・ダリオが創業したブリッジウォーター・アソシエイツは世界最大規模を誇る米国のヘッジ・ファンドである。

1975年にニューヨークで創業し、現在はコネチカット州ウエストポートを主拠点に約1500人の従業員を抱える。Pensions & Investments社が発表した、2021年ヘッジ・ファンド運用資産残高ランキングでは第1位を獲得するなど長年にわたり運用資産残高や運用成績といった数々の指標において上位にランキングされる業界のトップランナーである。また創業者のレイ・ダリオは2021年のヘッジ・ファンド・マネジャー報酬ランキングで1位となるなど、ヘッジ・ファンド業界をけん引する立場にある。

2022年1月時点で米証券取引委員会(SEC)に対して提出されている株式保有報告書(フォーム13F)からわかる運用資産残高(AUM)は約2230億米ドル。機関投資家をはじめ、外国政府、大学基金、中央銀行やチャリティー基金、米国最大の公的年金であるカルフォルニア州職員退職年金基金の運用をはじめとする年金基金など、100社以上のクライアントを持ち、創業以来の運用平均が10%以上を誇る"最も成功したヘッジ・ファンド"の1つとして知られている。

ブリッジウォーター・アソシエイツの投資戦略は、経済動向に基づくグローバル・マクロ運用で、上昇余地の高いと判断した市場で買いポジションを作り、将来的に下落を予想する市場では売りポジションを持つ戦略をとることで、最大の利回りを目指す。ポートフォリオの構築にあたり、歴史分析が行われ、過去に起こった出来事に対して市場がどのように反応したのかを100年分遡った上で普遍的法則を探り出し、現在の国際情勢や社会のトレンドなどから市場の方向性を予測する徹底ぶりで著名。2008年のリーマン・ショックにおいてもプラスの運用成績を上げて注目された。

運用ファンドは4種類で、

  1. ピュア・アルファ:1989年からあるブリッジウォーター・アソシエイツの旗艦ファンド。ファンド・マネジャーが債券、通貨、コモディティなど3040の様々な資産クラスへの投資を行い、その能力次第で収益を増やしていくアクティブ運用型のファンド。
  2. ピュア・アルファ・メジャーマーケット:2011年に新しく作られたファンド。従来のピュア・アルファの中でも欧州債券などといった主要市場のみを投資ターゲットとするファンド。瞬く間に資金を集め、運用資産残高の拡大に貢献した。
  3. オール・ウェザー:1996年に作られたファンド。株式や債券、コモディティといった資産クラスを安定的に保持し、インフレやデフレ、急成長や下落といったあらゆる経済状況においても収益をあげることができるポジションをとる、リスク・パリティ戦略型のファンド。リーマン・ショック後にファンドの運営はよりリスク回避傾向を強め、インフレ連動債、国債や金といった資産を保有しているとみられる。
  4. オプティマル・ポートフォリオ:2015年に運用が開始された新しいファンドで、これまでのピュア・アルファとオール・ウェザーを併せ持った運用スタイル。初めてアルファ追求型とベータ追求型の投資戦略を取り込み、5%のリターンを目標として作られ、スタートから多くの機関投資家の資金を集めた。

今回の新型コロナ・ウイルス感染症の拡大における混乱において、運用成績を低下させていたが、ロシアによるウクライナへの侵攻やそれに伴う原油価格の上昇、世界経済のインフレ傾向などの状況が追い風となって、今年の第1四半期の運用成績を再び大きく上げてきており、今後も目を離すことのできないヘッジ・ファンドである。

参考資料:

  • Pensions & Investments date:
    The largest hedge fund managers 2021


(文責:客員アナリスト 鈴木)

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