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2021/11/12
今注目の投資戦略
FIRE目指すポートフォリオ構築とは?GPIFに学ぶ資産配分と収益率

<FIRE目指すポートフォリオ構築とは?GPIFに学ぶ資産配分と収益率>

経済的独立と早期退職を目標とするFIRE(Financial Independence, Retire Early)を目指す動きが強まっている昨今――。

FIREを実現するためには、資産を減らさないことが必要だが、米国の大学の論文によると、「生活費を投資元本の4%以内に抑えれば、資産が目減りすることなく、暮らしていける」という4%ルールがある。つまりFIREに必要な資産は「投資元本(100%)÷年間支出(4%)」であり、年間支出の25倍の資産を準備すれば、FIREが実現できる計算だ。

例えば年間支出が300万円とすれば、FIREに必要な資産は300万円×25倍=7500万円。7500万円を取り崩してしまえば、25年で底をつくが、7500万円を運用に回し、年率4%の不労所得を得ることができれば、7500万円×4%=300万円となり、年間支出300万円をそのまま得ることができ、元本を減らさずに生活できる。

もっとも投資で必ずしも年率4%で運用が続けられる保証はなく、元本保証がない点に注意が必要だ。4%の運用ができなければ、不労所得が減り、支出を削るか、働くなどして他の収入で補う必要が出てくる。それができなければ、資産を取り崩すことに留意すべきだろう。

さらに日本では金融所得課税の強化に関する議論も浮上している。株式など金融商品で得た譲渡益や配当金への金融所得課税の見直しが行われれば、不労所得の手取りが減少することになる。

金融庁の資産運用シミュレーションに基づく試算では、想定利回り年率4%、積立期間30年間で、7500万円を貯めるには、毎月積立金額は10万8061円となる。年1回の複利計算(手数料、税金などは含まず)で運用収益は3609万8000円、元本3890万2000円に達する。

<GPIFに学ぶ資産配分と収益率>

資産形成というと素人の個人には、難しいイメージだが、プロの知恵を拝借して夢を実現するというのはどうだろうか?

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によると、「長期的な運用においては、短期的な市場の動向により資産構成割合を変更するよりも、基本となる資産構成割合を決めて長期間維持していく方が、効率的で良い結果をもたらす」という。

このため、公的年金運用では、各資産の期待収益率やリスクなどを考慮した上で、積立金の資産構成割合(基本ポートフォリオ)を定めている。

2020年4月から5カ年の基本ポートフォリオでは、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券の4つの資産に各々25%ずつを割り当て、かい離許容幅は内外株式、内外債券ともに各々プラス・マイナス11%に設定している。前提条件となる名目の期待リターンは、国内株式5.6%、外国株式7.2%、国内債券0.7%、外国債券2.6%、短期金利0.6%と推計している。

GPIFが2001年度に市場運用を開始して以降、2021年9月末時点の累積収益額は約1021946億円、このうち利子・配当収入額(インカムゲイン)は約41兆8382憶円、平均収益率は年率3.70%に上る。運用資産額は約1941197億円。

またGPIFでは、伝統的な投資対象である上場株式・債券以外にも、オルタナティブ(代替)資産として、インフラストラクチャ―、プライベート・エクイティ、不動産の3つの資産クラスにも投資しており、2021年3月末時点で時価総額は約1兆3419億円となっている。

GPIF.png

(出所:GPIF

さすがに個人では、資金の規模が違うものの、こうした専門家の手法をまねて、長期的な分散投資・運用により、資産の構築を図ることは、難解な金融知識・情報がなくてもできるはずだ。

毎月一定額を決めて、各資産に分散投資を継続する方法であれば、金融市場の乱高下に一喜一憂する必要もない。給与・収入から自動引き落としで積み立てすれば、投資経験がなくてもでき、特に何もする必要はない。

全資産を特定のカテゴリーに集中させず、目的や状況に応じて、バランス良く配分することにより、保有するポートフォリオの最適化を目指すことが肝要だ。

コロナ禍などで雇用環境が不安定化する中、不測の事態に備えるだけでなく、経済的・時間的な自由を手に入れるために、必要な資産額と運用方法を知っておくことは、人生100年時代のリスク管理の観点からも重要ではないだろうか?

参照:

年金積立金管理運用独立行政法人 (gpif.go.jp)
2021_2Q_1105_jp.pdf (gpif.go.jp)
金融・証券税制に関する資料 : 財務省 (mof.go.jp)
金融所得課税「任期中あり得る」 岸田首相:時事ドットコム (jiji.com)
資産運用シミュレーション : 金融庁 (fsa.go.jp)

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